ポルトガル語に興味がある場合に気になるのがポルトガル語と似ている言語について。
この記事では、ポルトガル語と似ているロマンス諸語についてご紹介します。
ポルトガル語と似ている言語は?-ロマンス諸語とポルトガル語と英語
ポルトガル語はロマンス諸語と呼ばれるラテン語から派生した言語の一つです。
ロマンス諸語というのは、「ラテン語」という、ローマ帝国時代に使用されていた言語を親に持つ言葉たちのことです。所謂ラテン系の言語。
代表的なロマンス諸語は、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、イタリア語、そしてルーマニア語の5つ。そして、他にも、カタルーニャ語・ガリシア語等の地方言語も存在ます。
それぞれ、地理的には別の地域で話される言語で、その国・地域の歴史的背景や周りの地域で使用されている言葉との関係によって、単語、文法、発音などが大きく変化しています。
ポルトガル語とロマンス諸語
ロマンス諸語のそれぞれの言語は長い期間を経て変化しているため、文法面や発音面、語彙、アクセントなど、それぞれ異なっており、特にルーマニア語は他のロマンス諸語とは大きく異なっています。
また、フランス語も発音面で独特の進化を遂げているため、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語などとは少し雰囲気が異なります。
ポルトガル語と一番似ている言語はガリシア語で、スペイン語とポルトガル語の間のような言語です。また、スペイン語、イタリア語、カタルーニャ語も文法面や発音面でポルトガル語と似ているところが多いです。
フランス語については似ている部分も多いですが、発音が大きく異なるため、聞いた感じは兄弟言語とは思えないくらい違って聞こえます。
ただ、文字にして読むとぼちぼち理解できるくらい、語彙や綴り、文法は似ているといえます。また、鼻母音があるのもこの両言語の共通点です。
似ている似ているといっても、どのくらい似ているのでしょうか。例えば、津軽弁と宮崎弁くらいの違いなのか、若しくは日本語と韓国語くらいの違いなのか。はたまた大阪弁と神奈川弁くらいの違いなのか…
ロマンス諸語の中でもとても良く似ているといわれる、スペイン語とポルトガル語を比べてみると、その似ている度合いは、現代日本語と、古文の日本語くらいの感じです。
古文を読んだとき、なんとなく分かるけど、なんかわかんない。そんな感じの似ている具合です。スペイン語を知っている場合に、勉強しないとポルトガル語はわからないのですが、勉強すればすぐに分かるようになります。
ちなみに、津軽弁と宮崎弁の関係に近いのが、ポルトガルのポルトガル語とブラジルのポルトガル語の違いです。ポルトガル語はさまざまな国で話されているため、国が違っても通じますが、それぞれのポルトガル語が大きく異なっています。
ブラジル国内のポルトガル語の差は大阪弁と神奈川弁くらいの違いです。例えば、ブラジルのサンパウロのポルトガル語とブラジリアのポルトガル語くらいの差というイメージです。
ポルトガル語と英語の関係
英語とポルトガル語、どちらもヨーロッパ起源の言葉ですが、それぞれ属するグループが異なっています。
英語の言語グループは印欧系のゲルマン語派というもので、所謂ゲルマン系の言語。実はドイツ語やオランダ語、北欧言語の兄弟なのです。
一方でポルトガル語は印欧系のロマンス諸語と呼ばれるグループに属しています。ロマンス諸語は一般にラテン系と呼ばれる言語。
したがって、大本の「印欧系」という括りは同じなのですが、属するグループは異なっており、英語とポルトガル語は異なる言語と言うことができます。
ですから、もともとの言語の仕組み、単語の部分は全く異なっているといっても過言ではありません。
ただ、似ているところもあります。それはラテン系由来の語彙の部分です。
英語とポルトガル語は似ている単語が多い
異なるグループに属する英語とポルトガル語ですが、実は単語レベルで考えると似ている単語が多いです。何故単語が似ているのか、それは、英語にフランス語の語彙が多く流入したから。
そして、フランス語とポルトガル語は兄弟ですので、語彙の部分で似ている単語が多いです。つまり、フランス語の単語を多く借用している英語の語彙とポルトガル語の語彙は似ているということができるのです。
イギリスへのフランス語の流入は歴史が理由
もともとはイングランドには、「ケルト人」と呼ばれる人たちが住んでいました。
その後、ローマ帝国、アングロサクソンの時代へと続き、このアングロサクソン人がケルト人をウェールズやスコットランド、アイルランドに追い払い、アングロサクソン人の天下となりました。
アングロサクソン人の天下の下で使用され始めたのが、今の英語の祖先である、古英語です。
しかし、1066年、フランス北部のノルマンディ地方を治めていたノルマンディ公ウィリアムにイングランドが敗れたことによって、イングランドがフランス語を話すノルマン人に支配されることになりました。ノルマン朝が誕生します。
ノルマンディ公ウィリアムはフランス生まれの生粋のフランス語話者ですので、当然その部下達もフランス語を話します。そこで成立したのが、「支配階級がフランス語話者で、支配される人々が英語話者」という構造です。
このフランス語話者が支配し、英語話者が支配されるという社会的構造により「高貴な言葉はフランス語、下賤の言葉が英語」という2重構造が誕生しました。
例えば、動物を表す単語は、育てるときの単語と、食べるときの単語が英語では異なります。これは、「作るのは英語話者、食べるのはフランス語話者」だったからなのです。
①牛:Cow(英語起源)、牛肉:Beef(仏語起源)
②羊:Sheep(英語起源)、羊肉:Mutton(仏語起源)
③豚:Pig(英語起源)、豚肉:Pork(仏語起源)
※詳しくはこちら
英語とポルトガル語の単語が似ている例
前置きが長くなりましたが、英語とポルトガル語の単語が似ている例をご紹介します。
特にポルトガル語の語彙は、英語の「難度の高い単語」と似ています。
例えば、「静かな」という意味の単語は「Quiet」と「Tranquil」が有ります。Tranquilは英語では難しい単語として知られていますが、ポルトガル語では単語帳の1ページ目に出てくる"Tranquilo"という単語で、日常でとてもよく使います。
また、「始める」は「Begin」 と 「Commence」という単語が存在しますが、ポルトガル語では”começar”でポルトガル語勉強3日目には出てくる単語です。
他にも、英語辞書を引いてラテン語由来と書かれている単語は高確率でポルトガル語にも似た単語が存在するので、英語の単語が分かればポルトガル語の単語が分かる可能性が高く、反対にポルトガル語で学んだ単語が英語の難しい単語だったということもあるのです。
ポルトガル語のおすすめ参考書
ここまでポルトガル語と似ている言語についてご紹介しました。
ポルトガル語を勉強したい場合におすすめなのが、ポルトガル語会話と簡単な文法解説のついた参考書、文法書、単語帳の3つの参考書をそろえること。
ポルトガル語の勉強では、「文法を覚え、単語を覚え、音を聞き、発話する」という4つのステップを繰り返すことが大切です。
文法や会話のリスニング練習でおすすめな教材は、『ニューエクスプレス』シリーズ。そして単語の学習は『キクタン』、文法書は『総合ブラジル・ポルトガル語文法』です。
※ニューエクスプレス プラス ポルトガル語
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オンラインポルトガル語
ポルトガル語上達には、一人で勉強やポルトガル語の練習をした上で実際にポルトガル語話者と会話練習することが欠かせません。ネイティブが話す言葉を理解し、即座に返答するという練習を繰り返し行います。
現在はオンライン語学教室などが多く存在していますので、ポルトガル語会話の練習には最適。
質の高いオンラインレッスンが多く、オンライン教室を利用することで、家にいながらポルトガル語をしっかりと練習できます。
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終わりに
この記事では、ポルトガル語、ロマンス諸語、英語について似ている部分をご紹介しました。
ポルトガル語は発音面でとっつきやすく、一度文法を覚えると例外も少ないので、会話練習などもしやすい言語です。
動詞の活用などを沢山覚えるのは大変ですが、本国ポルトガルのみならずブラジルなど様々な地域で使用される言語で、覚えた分だけ使う機会も多くあるので、是非ポルトガル語を学んでみてください。
※3か国語話すための練習方法はこちら